日本農業市場学会

2020年度大会シンポジウムの案内

日時:2020年8月22日(土)13:00〜17:00

場所:
(対面会場)北海道大学農学部4階 大講堂(北海道札幌市北区北9条西9丁目)
(オンライン)You Tube Live
※対面会場で出席できるのは北海道在住会員・シンポ関係者などに限定させていただきます。
※You Tube Liveのリンクは前日送信予定のメールで確認ください。

テーマ:物流危機と農産物・食品流通の転換
座長:木立真直(中央大学) 杉村泰彦(琉球大学)

・第1報告 矢野裕児(流通経済大学)「日本における物流危機の現状と食品物流をめぐる諸課題」
・第2報告 佐藤和憲(東京農業大学)「産地における農産物の加工・保管・出荷対応の現状と課題」(仮)
・第3報告 種市豊(山口大学) 「過疎地・農山村における農産物・食品の配送対応の現状」(仮)
(休憩)
・講 演 丸谷智保 氏(㈱セコマ会長) 「北海道における食ビジネスと物流戦略(仮)
・コメント ①小林茂典(石川県立大学) ②冬木勝仁(東北大学)
・総合討論

【座長改題】
現代の便利な社会や暮らしを支えるインフラとして、物流は不可欠の役割を果たしている。しかしながら、2013 年以降、多頻度小口化やネット通販の拡大により物流の需要が急増する一方で、ドライバーの不足は益々、深刻化し、日本の物流インフラの持続性への懸念が強まっている(1)。物流危機と呼ばれるこうした状況は、農産物・食品の流通においても、様々な問題が顕在化しつつある。
例えば、農産物の産地出荷組織では、トラックの手配などの物流上の制約から、出荷先卸売市場を従来にも増して絞り込まざるをえない事態に直面している。また、水産物の産地市場では、地域の運送業者の廃業や撤退により、市場機能そのものの維持に支障をきたすケースさえみられる。こうした産地側の状況に連動し、消費地の卸売市場では、遠隔地立地市場や中小卸売会社を中心に、
周年的に十分な集荷を確保することが困難になりつつある(2)。消費者に商品を届けるラスト・ワン・マイルに目を向けると、個配事業で伸長してきた生協にとってドライバーの確保難と過重労働が事業の継続性の点で大きな課題となっている。また、消費者へのネット販売で売上を伸ばしてきた産地事業者のなかには、とくに冷蔵品について配送料負担の重さから収益性の悪化に直面するケースがみられる。
もとより、デジタル商品を除き、モノの流通は、物流なくして完結しえない。加えて、近年では、物流の効率性や物流品質、あるいはその有効性がサプライチェーンの視点から重要視されることとなった。その結果、物流革新をめぐる熾烈な競争が激化している(3)。とくに農産物・食品の独自性として、運送・保管などとともに、鮮度や品質の保持、安全・安心の確保、あるいは包装や流通加
工などの多様な付加価値的機能が広義の物流機能として遂行される点に留意しなければならない(4)。よりマクロの視点からは、物流革新と物流危機が併進する中で、配送料を負担すべきは出品者なのかネット事業者なのか、あるいは消費者なのか、という論点がある。上記のような物流危機と呼ばれる今日的問題状況と、物流機能の理論的な重要性を踏まえ、日本農業市場学会では、2020 年度大会シンポジウムにおいて農産物・食品の物流問題を取り上げることとした。
第1報告として、物流研究の第一人者である矢野裕児氏(流通経済大学)には「日本における物流危機の現状と食品物流をめぐる諸課題」というテーマでのご報告をお願いした。日本の物流がドライバーの不足により、物が運べないといった事態に至っている背景、要因について論じるとともに、とくに効率が低いといわれている食品物流は、何が問題なのか、そして、その解決に向けて必要な標準化、情報の電子化と共有について論じていただく。
第2報告は、青果物サプライチェーン・バリューチェンについて理論的・実証的に精力的な研究を蓄積されてきた佐藤和憲氏(東京農業大学)から、「産地における農産物の加工・保管・出荷対応の現状と課題」(仮)というテーマでご報告いただく。野菜のサプライチェーン、とくに産地・卸売段階における規格・選別、流通加工、保管、そして出荷という物流対応の現状と課題が考察される。
第3報告では、種市豊氏(山口大学)から、「過疎地・農山村における農産物・食品の配送対応の現状」(仮)という興味深いテーマで、最新の研究成果をご報告いただく。農山村過疎地という特殊な市場条件において、どのような食品のラスト・ワン・マイル問題が生じているのかを明示した上で、その課題解決に向けた創意工夫に満ちた取組みについて詳細な実態分析がなされる。
最後に、丸谷智保氏(㈱セコマ会長)より「北海道における食ビジネスと物流戦略」(仮)というテーマでご講演いただく。同社は、北海道という固有の市場条件の下で、コンビニエンスストア事業をはじめ食ビジネスを多面的に展開する一方で、原料生産・仕入から製造、物流、小売までを統合する高度なサプライチェーンをどのように構築してきたのか。とくに食ビジネスにおける物流戦略の方向性に焦点を当ててお話いただく予定である。
これら4つの報告ないし講演に対するコメンテータとしては、小林茂典氏(石川県立大学)と冬木勝仁氏(東北大学)にお願いした。小林氏は、長年にわたり野菜サプライチェーン研究を担当されてきた第一人者であり、主に第 2、第 3 報告へのコメントをお願いする。冬木氏は、農産物市場に関する理論的・実証的研究の第一人者であり、今回の農産物・食品の物流問題を動態的に議論していく上で、主に第 1 報告と講演へのコメントをお願いする。
大会シンポジウムでは、以上のような報告とコメント、さらには参加会員との議論を通して、農産物・食品物流が抱える諸問題を解明し、今後の解決方向を提示したい。


1)矢野裕児(2017)「物流環境変化が農産物流通に与える影響」『流通経済大学流通情報学部紀要』21(2),あるいは、首藤若菜(2018)『物流危機は終わらない』岩波新書、を参照。
2)相浦宣徳・冨田義昭(2019)『激変する農産物輸送』北海道農業ジャーナリストの会。
3)角井亮一(2016)『アマゾンと物流大戦争』NHK 出版新書、角井亮一(2017)『物流大激突』SB 新書。
4)農産物市場論では、元来、農産物の商品化・マーチャンダイジングに密接にかかわる規格・選別、流通加工機能を、いかなる主体が、どのように担当するのかが、価格形成や販路拡大に大きく影響することが注目されてきた(佐藤治雄(1977)「農産物市場における選別、輸送、保管機能」川村琢・湯沢誠・美土路達雄編『農産物市場体系2 農産物市場の再編過程』農山漁村文化協会)。また、美土路達雄は、農協共販が単なる「集買」に堕することなく「共販」の内実強化について、「販売という具体的なモノのうごきを通じて、その規格化、保管、運搬、金融を通じてである」と述べ、物流の掌握の重要性を主張している(美土路達雄(1959)「農産物市場と農協」協同組合経営研究所編『戦後の農産物市場(下)』全国農業協同組合中央会、pp.368-369)。

2020.6.16公開

個別報告一覧
個別報告要旨集

【お知らせ】2020年度大会の実施方法について(2020年5月30日)New!

※例年度大会とは開催方法が大幅に変更されています。必ず内容を確認してください。

2020年度大会個別報告・セッションの募集について

Newsletter No.77 にも記載があります。

各種エントリー申込みは終了しています。

●個別報告・セッションの申し込み(エントリー)

締切 2020年5月8日(金) ※E-mailで企画委員会事務局必着
 個別報告へ申し込む際の必要連絡事項
① 報告者氏名および所属
② 報告タイトル
③ スライド(PDFファイルのみ可)使用の有無

 セッションへ申し込む際の必要連絡事項
① 座長(コーディネーター)の氏名・所属
② 全体テーマと趣旨(個別報告要旨と同様の様式)
③ セッション内で行う報告のタイトル、報告者氏名・所属、コメンテーターをつける場合にはその氏名・所属
④ スライド(PDFファイルのみ可)使用の有無

※セッション形式について
・セッションは共通テーマの下で座長を立て、2~4報告を行い、総合討論するものです。コメンテーターをつけることも出来ます。
・セッションでの報告は個別報告の一部として取り扱い、個別報告の時間帯に組み込んで行います。セッション内のすべての報告の終了後、1報告分の時間で総合討論を行います(コメントを含む)。また、セッション内の報告についても、報告論文として投稿することができます。
・座長、報告者ともに本学会の会員である必要があります。

●個別報告・セッションの報告要旨の提出

締切 2019年5月29日(金) ※E-mailで企画委員会事務局必着
 提出書類: 個別報告要旨(様式)報告要旨(見本)に従って作成してください。

※用紙:A4版横書き用紙1枚以内(1,000字程度)
※内容:報告タイトル(ゴシック体10.5ポイント太字、中央寄せ) 報告者氏名(明朝体10.5ポイント、中央寄せ) 所属(( )内に明朝体10.5ポイント、中央寄せ) 報告要旨本文(明朝体10.5ポイント)
※提出方法:MS-Word形式のファイルをE-mail添付で提出してください。

●申し込みにあたっての注意事項

・報告時間は、1報告20分、質疑10分を予定していますが、報告者の数によっては変更することもあります。あらかじめご承知おきください。
・会費を滞納している会員は、個別報告やセッションに申し込むことができません。また、報告の代表者だけではなく、連名で報告される会員すべてについて、会費を納入していることが条 件となります。
・大会後に報告論文の投稿を検討されている方は、以下の点に特にご留意ください。投稿規程(2015年12月改正)によれば、報告論文のタイトルおよび執筆者(順)は、原則として個別報告等(要旨集掲載)のタイトルおよび報告者(順)とすることになっていますので、よろしくお願いします。
個別報告・セッションの領域が本学会の目的(会則第2条「農業・食料に関わる諸市場の理論的・実証的研究」)にふさわしくないと判断される場合は、セッションあるいは個別報告をお断りすることがありますので、あらかじめご承知おきください。
メールで報告申し込み(5月8日締切)を行なう際は、メールタイトルを必ず「氏名(日本名および外国名の方で漢字やカナ表記を希望される場合は日本字で、その他の外国名の方はアルファベットで):市場学会個別報告申し込み」として下さい(例「磯田宏:市場学会個別報告申し込み」)。セッション申し込みの場合は、「氏名:市場学会セッション申し込み」として下さい。
・また報告要旨提出(5月29日締切)を行なう際は、メールタイトルを「氏名:市場学会個別報告要旨」と記して下さい(例「豊智行:市場学会個別報告要旨」)。セッションの場合は「氏名・市場学会セッション報告要旨」として下さい。 メールタイトルが以上のようになっていない場合、受け付け漏れが生じる危険がありますが、その責任は企画委員会事務局では負いかねます。
報告要旨は、上記の学会ホームページにある様式に厳密に従って作成して下さい。それ以外のものは受け付けができない、したがって個別報告ができないことがあります。
個別報告の時間帯、場所、順序、会場などの決定は、全てを企画委員会事務局にご一任下さい。

●申込先(問い合わせ先):企画委員会事務局

日本農業市場学会企画委員会事務局  豊 智行(YUTAKA, Tomoyuki)
申込先 E-mail: yutaka@agri.kagoshima-u.ac.jp
〒890-0065 鹿児島市郡元1-21-24 鹿児島大学農学部 食料農業経済学コース 農業市場学分野
TEL:099-285-8627(直通)